ごあいさつ
この度、第69回日本心臓病学会学術集会を2021年9月17日(金)~19日(日)の3日間、鳥取県米子市の米子コンベンションセンター・米子市文化ホールにおいて開催することとなりました。ここ山陰地方での開催は日本心臓病学会としては初めてであり、本会を主催できることを大変光栄に思っております。
わが国の死因をみると心疾患が2位、脳血管疾患が3位と循環器系疾患が上位を占めており、医科診療医療費の内訳では循環器系疾患が約20%を占めています。循環器疾患が国民、社会に大きな影を落としていることは言を待ちません。これに立ち向かう中心的な役割を循環器疾患の専門家が担うことは当然のことであり、本学術集会を通じて新しい知見を得たり、新しい着想のヒントをつかんでいただくことに結びつくよう、様々な企画を準備いたします。ただし、循環器疾患患者の多くを高齢者が占めていることもあり、多くの患者において複数の循環器疾患あるいは非心臓疾患が併存しており、このために病態が修飾され、治療戦略に多大なる影響を与えております。また、高齢者にとってはアクセスの問題もあり、循環器疾患の診療を循環器専門医のみで担うことが難しいケースも多くなっております。特に心疾患の終末像である心不全患者数は急増しており、かかりつけ医の先生方のご専門領域に関わらずcommon diseaseとして連携を取りながら診療を行う必要性が高まっています。地域医療構想の実現に向けた取り組みとしても、このような連携は必須となります。そこで、本学術集会のテーマを「United by Generalists and Specialists」とし、広範囲な知識、技術、経験を有するgeneralistと特定の分野において深い知識や優れた技術を有するspecialistが協働して循環器疾患診療のさらなるレベルアップと効率化に向かっていただけるよう、との視点に立った企画を策定しました。循環器領域のサブスペシャリティーにおける最新の話題の提供のみならず、広く循環器診療一般にかかわるテーマを循環器領域の内外から取り入れ、循環器専門家が循環器診療をする上で知っておきたい専門領域外の話題、逆に循環器を専門とされない先生方に“これだけは”知っておいていただきたい循環器領域の知見をシリーズ化したセッションを設けております。このセッションの企画は、日頃かかりつけ医として循環器疾患患者の診療に当たられているご開業の先生方で組織されているJapan Cardiology Clinic Networkにご協力いただき、循環器をご専門とされない先生にも参加していただけるように工夫しております。
また、本学会が従来より力を入れている若手医療従事者の育成という方針を継承し、このたびは一般演題をすべて口述発表とし活発な議論ができるようにしたいと思っております。
第69回の本学術集会が様々なかたちで循環器疾患の診療に携わっておられる方々にとって充実した研鑽の場となり、新たな発見や出会いに結び付けていただけるよう準備に努めてまいります。現在のSARS-CoV-2感染症の広がりが1年後にどこまで収束しているか、今の段階で予想することはできませんので、集合形式での学術集会開催が困難となる場合も想定して準備を進めてまいります。是非、多数の皆さまにご参加いただきますようお願い申し上げます。
第69回日本心臓病学会学術集会
会長 山 本 一 博