第71回日本心臓病学会学術集会
大会長 小野 稔
東京大学医学部附属病院 心臓外科 教授
第71回日本心臓病学会学術集会の大会長を務めさせて頂きます東京大学医学部附属病院心臓外科の小野稔と申します。外科系大会長は2008年の第56回学術集会の高本眞一東京大学名誉教授以来15年ぶりです。
新宿にある京王プラザホテルで、2023年9月8日(金)午後から10日(日)の午後2時過ぎまでの開催としました。診療時間への負担がなるべく減らし、日々の診療にすぐにでも役立つ最新情報を学んで頂けるように配慮致しました。
さて、今回の学術集会のテーマを「One Heart Team~切れ目ない心臓病治療~」とさせて頂きました。最近の心臓病の治療手段の進歩は著しく、薬物はもちろんのこと、様々なデバイス治療が臨床現場に導入されてきていますが、虚血性心疾患、弁膜症をはじめとしたstructure heart disease、重症心不全治療などの多くの分野で、内科と外科の協調・協力体制が必須となってきています。いわゆる内科と外科を含む関係各部署から成る「Heart Team」が新しい治療法を適切に進める上で不可欠の条件となっています。一方で、治療から社会復帰に至る一連のプロセスを患者の視点から統合的にケアする観点が重視され、「Patient Journey」という言葉が広く使用されるようになってきました。かかりつけ医から地域基幹病院へ紹介され、さらに高次治療が必要となれば、大学病院や循環器センターへとフローができる一方で、治療が完了すれば、再び地域病院、あるいはかかりつけ医での診療に帰って日常生活を取り戻す。この一連の「切れ目のない心臓病治療」は「One Heart Team」以外の何物でもありません。本学術集会では、外科と内科の連携、さらにpatient journey の中に寄り添う心臓病治療の連携という観点をしっかり盛り込んでいきたいと考えています。また、本学術集会では新しい試みとして、「医療機器よろず相談所」を設けることにしました。国立医薬品食品衛生研究所医療機器部の専門委員の先生方に無料で医療機器開発について相談することができます。日常の診療の現場で芽生えたアイデアをデバイスとして世に出す指南を受けることができます。ホームページからお申込み下さい。
本学術集会は、完全現地開催となります。会員の先生方に加え、心臓病診療に日々取り組んでいる多くの先生方やメディカルスタッフの方々、また医療関連業界にお務めの方が心臓病診断・治療のup-to-dateを学び、日常の診療の問題解決につながるような実りの多い学術集会を目指してまいります。さらに、現地開催のならではのface-to-faceの情報交換やアフター5の楽しい時間を是非とも堪能して頂ければと思います。皆さまのご参加を心よりお待ちしています。