ビジュアルワークショップ4
肺高血圧を診る
福本 義弘(久留米大学医学部内科学講座 心臓・血管内科部門)
松原 広己(岡山医療センター循環器科)
肺高血圧症は、安静時平均肺動脈圧が25mmHg以上と定義され、その成因には器質的肺動脈病変および肺動脈攣縮が大きく関与している。現在の分類では障害部位に基づいて、肺動脈性肺高血圧症、左心疾患による肺高血圧症、呼吸器疾患による肺高血圧症、慢性血栓塞栓性肺高血圧症、その他の原因不明な複合式要因による肺高血圧症の5つに分類されている。
肺動脈性肺高血圧症は、プロスタサイクリン経路、一酸化窒素合成経路、エンドセリン経路の薬剤で加療されており、慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対しては、抗凝固療法や肺血管拡張薬に加え、外科的治療が前提ではあるものの、わが国ではバルーン拡張による肺動脈インターベンションも施行されており、良好な成績を収めている。これらはいずれも肺動脈そのものの異常に起因する疾患である。
一方で、必ずしも肺動脈の異常には起因しない肺高血圧症も存在する。左心不全に伴う肺高血圧症では、基本的には左心不全の治療を行うことになり、呼吸器疾患に伴うものであれば、その治療が原則であるが、これらにはいわゆる”out of proportion”と呼ばれる、肺動脈病変を合併する病態が混在しており、その病態の解釈を複雑にしている。
本セッションでは、これら肺高血圧症に関する最新情報の中でも、特にさまざまなモダリティーによる画像にかかわる話題を中心に議論を行いたい。