ビジュアルワークショップ1

心エコー図の新しい動向

尾辻 豊(産業医科大学 第2内科学)
増山 理(兵庫医科大学 内科学循環器内科)
心エコー図が急激に変わってきている。エコーの技術が変わってきた。3次元心エコーは古くからあったが、実用的ではなく研究のツールであった。しかし、今は実臨床で幅広く使われており、外科的僧帽弁形成術やカテーテルによる心房中隔欠損閉鎖術などは3次元エコーがないと困難である。また、組織トラッキング(speckle tracking)が標準的に使えるようになった。壁運動の客観的な定量化等に有用である。技術は以前よりあったが、最近運動負荷心エコーが保険収載された。冠動脈狭窄や運動誘発性心筋虚血の診断に期待される。さらには、心不全や弁膜症での予備心機能評価への応用も期待されている。心エコーの対象となる疾患が広がってきた。高齢化社会のために心不全・心房細動が増え、変性性の大動脈弁狭窄症が増えている。さらに心エコーと関連する治療法が大きく変わっている。弁膜症の外科治療で、長らく弁置換術が基本術式であったが、弁形成術あるいは自己弁温存手術が増えている。さらにはカテーテルを使った弁膜症治療が、従来の経皮経カテーテル僧帽弁交連切開術(PTMC)からTAVI (Transcatheter Aortic Valve Implantation), TAVR (Transcatheter Aortic Valve Replacement)へと時代は変わり、さらにはMitraClipで僧帽弁逆流の治療をカテーテルで行おうとしている。このように心エコーをとりまく環境は大きく変わっており、心エコーも自ずから急激に変わっている。心エコーの最新の知見をこのビジュアルワークショップで是非会員にお届けしたい。