特別企画10

循環器領域における非(低)侵襲性治療の進歩

鄭 忠和 (和温療法研究所 / 獨協医科大学)
伊藤 健太(東北大学大学院循環器先端医療開発学)
急性期医療や薬物療法・治療技術の進歩により平均寿命は延長し、少子高齢化の時代が進行しつつあります。心疾患患者の予後は治療の進歩とともに改善し、高齢者の重症心不全患者の増加とともに、新たな対策が求められています。約20年前から試みられてきた、虚血性心血管疾患を対象にした遺伝子治療や細胞治療は、基礎研究で認められたほどの劇的な効果は臨床試験で未だ認められていません。これらの治療法は骨髄穿刺や開胸操作など侵襲的な処置を伴う点が、高齢患者への治療応用を困難にしています。高齢者に限らず治療を受ける者は、安全で副作用がなく我慢を強いられない治療を望むものです。近年、麻酔や手術手技などを要さず、患者の身体的負担が小さい低侵襲・非侵襲性治療法が開発されています。
本特別企画では、低侵襲・非侵襲性治療として、先進医療として認定されトピックスになっている「低出力体外衝撃波治療」と「和温療法」、および今後期待される「体外式カウンターパルセーション(ECP)」、「Remote Ischemic Preconditioning」を取り上げました。それぞれの演者には最新の知見について概説いただく予定です。我が国における現状を認識し、その将来の展望について忌憚のない議論をしたいと思います。