特別企画1

臨床心臓病学における性差医学・医療の実践

天野 恵子(野中東皓会 静風荘病院)
松田 昌子(山口大学)
循環器分野を始めとして、日欧米における性差医学の展開には目覚しいものがある。米国NIH女性健康局(ORWH: Office of Research on Women’s Health)から2010年に出されたAgendaには今後の課題として、1.基礎科学における性差研究を更に進める、2.新しい技術、医療機器、医薬品の開発に当たって性差を考慮する、3.老若男女を問わず遺伝学的、形態学的性差のみならず、個人の行動、既往歴をも組み込んだPersonalized medicineの提供、4.女性の健康に関する研究を、米国地域のみならず、全世界で共有しうるような戦略的研究ネットワークの構築、5.女性の健康とウエルネスに関する理解と認識を高めるための新しい情報提供の仕組みを発展させる、6.性差医学研究と性差医療の発展のためにさらなる研究拠点の開発を革新的に、戦略的に行う。以上6つが記載された。明らかに欧米から大きく立ち遅れている日本の性差医学研究が大きな転換を図るためには、日本において最も性差医学に関する理解が進んでいると考えられる循環器分野から新しい情報発信が続けられることが肝要である。今回のセッションは、性差医学・医療の医学部教育課程への組み込みを目指し、基礎ならびに臨床における性差医学の進歩について、知識を新たにし、共有する場としたい。