シンポジウム11
Adult congenital heart disease (ACHD)の診療の進歩
丹羽 公一郎(聖路加国際病院 循環器内科)
中西 敏雄 (東京女子医科大学病院 循環器小児科)
多くの先天性心疾患患者が成人となり、先天性心疾患は、成人循環器疾患の1分野ともなっている。成人先天性心疾患は、小児期と異なり、加齢に伴い、心機能の悪化、不整脈、心不全、肺高血圧、突然死、再手術、血管不全,感染性心内膜炎など心血管系に関する問題を生じる。また、妊娠、出産や肝障害、腎障害、代謝異常、染色体異常による重複障害などの心臓以外の問題も重要である。就業、保険、結婚、心理的社会的問題なども認められている。我が国の成人先天性心疾患患者の多くは、30-40歳台であるが、メタボリック症候群の合併頻度も高いので、今後後天性心疾患の合併も問題になる。先天性心疾患の手術は根治手術ではなく、その疾患・手術に特有の遺残症、続発症を残し、それらが加齢とともに増悪し、内科外科的治療を要することが少なくない。未手術例も、成人期に増悪し、成人期特有の病態に対する加療が必要な場合がある。近年、成人先天性心疾患の分野は、多施設共同研究などにより、上記の種々の問題点に関するデータが蓄積されてきて、問題点の特徴,病態、治療法も明らかにされてきている。このシンポジウムでは、成人先天性心疾患の診療における最近の進歩に関する演題を応募していただき、今後の診療のあり方、研究の方向性について討議する。