シンポジウム16

冠動脈イメージングの進歩

平山 篤志(日本大学医学部内科学系 循環器内科学分野)
赤阪 隆史(和歌山県立医科大学 循環器内科)
急性冠症候群の原因が冠動脈造影では見つけられない不安定プラークの破綻とそれに伴う血栓形成であることが明らかにされ、不安定プラークをどのように検出するかが大きなテーマになった。血管内から直接プラークを検出しようとする血管内超音波法(IVUS)、光干渉法(OCT)血管内視鏡などの血管内イメージングで、それぞれのツールから不安定プラークが定義され検出が可能となった。さらにIVUSでは病理組織と対比した性状解析から特有のアルゴリズムを用いて病理所見を推測することも行われるようになってきた。また、プラークを3次元表示してその分布の仕方から冠動脈内の動脈硬化進展過程を明らかにしようという試みも行われている。一方、非侵襲的な冠動脈イメージングもCTの多列化が可能になったことで大きく進歩し、冠狭窄度の評価だけでなく、不安定プラークの診断の可能性も報告されるようになった。しかし、不安定プラークの検出は可能になったとしても、そのプラークが破綻するのか、どのような機序で破綻するのか、冠攣縮は破綻に関係するのか、そして急性冠症候群にいたるのかなどの疑問は解消されていない。単に不安定プラークの検出のステップから臨床に役立つ冠動脈のイメージングのためには、更なる工夫が必要で、そのために現在のイメージングにさらに何らかの工夫を加える必要がある。真の意味で臨床に役立つ冠動脈イメージングの今後について、本シンポジウムで議論できれば幸いである。