シンポジウム1

ハイブリッドイメージングの最前線

木原 康樹(広島大学大学院医歯薬保健学研究院 循環器内科学)
山岸 正和(金沢大学医薬保健研究域医学系臓器機能制御学・循環器内科)
心血管・冠循環系はその臓器としての機能を遂行するために自らの形態を進化させ、高い作業効率を実現させている。同時にその活動を生体機能の一部として統合するため、自らの制御機構をミクロからマクロレベルに至るまで、驚くべき整合性をもって働かせている。一旦それらに障害が生じると制御機構は破綻し、その影響が機能にも形態にも波及する。循環器病学には、そのようなインテグリティの喪失を理解し、その影響を最小限に抑え、回復を促す術を究明することに大きな使命があろう。今日においても、身体所見、胸部レントゲン写真、それに心電図の把握が個々の疾患の解釈の第一歩として位置づけられているのは、形態と機能とのインテグリティを我々循環器医が了解していることの証だと考える。一方近年における様々な生体検査モダリティの進歩により、循環器医はより綿密な形態と機能との関係をイメージとして把握できるようになってきている。それらモダリティとしては心臓超音波、CT、MRI、PET、SPECT、様々な機能を有するカテーテルやガイドワイヤ機器などを挙げることができよう。本シンポジウムにおいては、形態と機能とを融合し新たな統合的な地平を示している「ハイブリッドイメージング」の最先端を紹介し、循環器というシステムを更に理解する術を学び、それに基づく病態把握の展開を期したい。