シンポジウム17

慢性疾患・生活習慣病を合併した心疾患患者の管理

代田 浩之(順天堂大学大学院医学系研究科循環器内科学)
野出 孝一(佐賀大学医学部 循環器内科)
肥満や糖尿病の増加に伴い、冠動脈疾患や心不全も高血圧や加齢によるものだけではなく、慢性腎臓病(CKD)、閉塞性動脈硬化症(PAD)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や睡眠時無呼吸症候群(SAS)等を伴う、多臓器にわたる複合された病態を呈するものへ変化している。従って、その進展抑制には単に心血管臓器に対する治療だけでなく、随伴する生活習慣病やCKD、COPDなどの多臓器疾患への介入が必要である。
一方で、心筋梗塞患者における降圧や血糖目標値に関しては、いまだ一定の見解が得られていない。COPDやPADにおいてのβ遮断薬の使用も診療科によって考え方が異なるところである。透析症例における薬物療法による脂質低下療法の心血管イベント抑制効果に関しては、大規模臨床試験でもネガティブな結果が多いことから、合併する病態によって、冠危険因子の管理や薬物療法の効果は異なっている可能性がある。
そこで本シンポジウムでは、COPD、SAS、CKD等の慢性疾患や糖尿病・肥満等の生活習慣病を合併した虚血性心疾患、慢性心不全の治療に関して、臨床のデータを掲示して頂きながら深く議論を深めたいと考えている。