シンポジウム6
Polyvascular diseaseに対するアプローチ
尾崎 行男 (藤田保健衛生大学 循環器内科)
横井 宏佳 (医療法人社団 高邦会 福岡山王病院/国際医療福祉大学)
過食と運動不足、高齢化に伴い、本邦において動脈硬化性疾患が増加し、心血管イベントの抑制のために、冠動脈のみならず頸動脈、腎動脈、下肢動脈の包括的な全身血管病の管理が重要となっている。REACH Registryでは冠動脈疾患の25%に全身血管病が合併することが報告されており、本邦の待機的PCIの検討においても28%に下肢動脈、頸動脈、腎動脈、腹部大動脈に動脈硬化性疾患を合併していた。さらに、Polyvascular Diseaseの存在は心血管事故を高率に発症することが明らかとなっている。
Polyvascular Diseaseの早期診断のためにはABI、SPP、血管エコー、MDCT、MRIなどの機能診断と画像診断の診療体制が必要であり、医師のみならず検査技師、放射線技師との連携が必要となる。また、治療においては、複数の血管病に対して、どのような順序で治療を行うことが最適なのか、無症候性の血管病に対してどこまでの介入が必要なのか、最適なアプローチは明らかではない。心臓のみならず全身の血管病の治療には、循環器科のみならず、脳神経外科/内科、腎臓内科、血管外科との診療科の枠を越えた連携も必要となる。
本セッションではPolyvascular Diseaseの診断、治療、予防について、各施設の取り組み、また実際の症例から最適なアプローチを議論したい。