シンポジウム15
心室性不整脈に対するアブレーション治療の進歩
青沼 和隆 (筑波大学 医学医療系 循環器内科)
奥村 謙 (弘前大学大学院医学研究科 循環呼吸腎臓内科学)
20世紀末に於ける不整脈治療の発展には目覚しいものがあり、既に通常見られる多くの頻脈性不整脈に対するカテーテルアブレーション治療はその効果と安全性が確立した感がある。しかしながら心室性不整脈に対する治療の多くは、いまだに発展途上の治療であり21世紀に入っても確実な治療法としての方法論が確立されておらず、未だ難治性であるというのが現時点での印象であろう。
心室性不整脈は、基礎心疾患を有し突然死に直結する致死性心室性不整脈、遺伝的致死性心室性不整脈、更には単なる心室性期外収縮等、多様な病態を示している。
心室性不整脈が難治性である背景には、特に悪性心室性不整脈の起源となる不整脈基質把握の困難性、局所電位評価の複雑性、心室内刺激伝導系の解剖学的複雑性、心室筋における貫壁性焼灼作成の困難性、等が挙げられる。
これらの問題解決に向けて、21世紀に入り、3Dイメージング技術の導入により、electro-anatomical mappingが開始され、徐々に新たな知見が集積され始めている。
今回、『心室性不整脈に対するアブレーション治療の進歩』と題して、心室性不整脈の発生と持続という2つの事象に対する、最新の電気生理学的・解剖学的背景を踏まえたカテーテルアブレーション治療の新しい可能性、更にはアブレーションと薬物治療というハイブリッド治療の試み等に対する最新の成果の応募を歓迎する。
聴衆に対して、心室性不整脈に対するアブレーション治療の発展今後の方向性が示される有意義なシンポジウムとなれば幸いである。