シンポジウム5
心筋虚血をどのように評価するか
山科 章 (東京医科大学 循環器内科)
玉木 長良(北海道大学大学院医学研究科 核医学分野)
画像診断の進歩によって循環器疾患の診断法は著しく向上し、冠動脈病変は非侵襲的にしかも比較的簡便に評価ができるようになった。日本循環器学会循環器疾患診療実態調査をみても、侵襲的冠動脈造影検査件数は頭打ちであるのに対して、非侵襲的画像診断法の検査数は増加し続けている。中でも冠動脈造影に匹敵する画像を提供できる冠動脈CTの実施件数は2011年には約36万件であり、2006年の約8.6万件と比べて4倍以上と急増している。一方で、こうした非侵襲的画像診断法の普及によって発見された冠動脈病変に対して臨床症状あるいは虚血(機能的狭窄)の有無に関係なく血行再建治療が実施されるという状況が生じていることも事実である。虚血のない病変に対する血行再建が冠動脈疾患患者の予後を改善しないどころか悪化させるということが明らかになっており、虚血評価の重要性が改めて認識されている。そこで、冠動脈患者管理においてきわめて重要な意味を持つ、“心筋虚血をどのように評価するか”、をテーマとしたシンポジウムを企画した。シンポジストには心筋虚血の非侵襲的評価法から侵襲的評価法まで、最新の知見を紹介していただき、最適な冠動脈疾患患者管理ストラテジーの確立を目指したシンポジウムとしたい。