メディカルスタッフセッション1
電子カルテ時代のクリニカルパス
松村 泰志(大阪大学大学院医学系研究科 情報統合医学講座 医療情報学)
中山 雅晴(東北大学災害科学国際研究所災害医療情報学分野)
電子カルテを導入する病院の拡大に伴って、クリニカルパスの電子化も普及してきた。そのメリットとして、オーダ登録の展開の容易さによる業務量の軽減、経過表とのリンクによる情報の共有化、および用語の標準化などが実現してきている。また、パス適用率やバリアンス集計などの機能を活用できることにより、解析も容易となった。一方、紙面でのクリニカルパスと比較して柔軟さを欠くために、一覧性の欠如、選択肢の選びにくさ、操作時間の延長などのデメリットも指摘される。ユーザーの率直な意見を集約することにより、今後ベンダー間での機能差をなくし、メリットをさらに増やしていくことが必要であると考えられる。また、医療全体の方向性として、「多職種によるチーム医療」や「地域医療連携」などの重要性が認識されてきており、それらに応えられるように新たな役割もクリニカルパスに課されていくものと思われる。
本セッションにおいては、そういった状況を鑑み、各施設でクリニカルパスを用いた様々な取り組みの実例を持ち寄って、活発な討論を期待したい。とりわけ、電子カルテの普及に伴ったクリニカルパスの電子化により、循環器診療においてどういった効果があったか、どういう点が不十分か、実際に患者さんや医療スタッフにおけるメリットは何であるか、を医療者間で共有したいと考えている。医師、看護師のみならず多職種から、様々なアイデアが出ることを期待する。