メディカルスタッフセッション4

心臓病患者の退院前指導 -社会復帰そして再発予防のために-

野々木 宏 (静岡県立総合病院 循環器内科)
後藤 葉一 (国立循環器病研究センター 循環器病リハビリテーション部/
心臓血管内科)
急性期治療の進歩により心臓病の急性期死亡率は20~30年前に比べ大幅に低下したが、高リスク患者が救命され退院できるようになったこと、および多疾患保有高齢患者が増加した結果、再入院率が上昇している。再発・再入院は、本人にとっては自立生活から要介護生活への移行につながる可能性があり、また社会にとっては医療資源消費の増大につながる。したがって、急性期治療終了後の退院に際して、単に社会復帰のための指導だけでなく、再発・再入院予防のための指導が重要となっている。
現在のわが国では、心臓病患者の退院時指導の方法・内容は担当医師や看護師の判断に任されている場合が多いと推察され、標準化・体系化された方式は確立されていない。しかも退院時指導が患者の生活習慣改善や再入院率・長期予後に及ぼす効果は不明である。一方、すでに保険適応として承認されている「糖尿病透析予防指導管理料」では専門的知識や経験を有する多職種チームによる指導が義務づけられており、重症末期心不全患者に対しては緩和ケアチームによる退院支援が提言されている。
本セッションでは、心臓病患者の退院時指導に関して、虚血性心疾患と心不全を中心として、超高齢化・高リスク化・重症化が進行しつつあるわが国における心臓病患者の退院時指導の現状、あるべき姿と期待される効果、新しい試みなどを発表していただき、今後の展望と課題を話し合いたい。