日本心臓病学会・日本心臓リハビリテーション学会ジョイントシンポジウム
循環器診療の最前線と心臓リハビリテーション
葭山 稔 (大阪市立大学大学院医学研究科 循環器内科学)
上嶋 健治(京都大学医学部附属病院臨床研究総合センター EBM推進部)
医学領域の進歩は目覚ましく、昨日の常識が非常識に、逆に非常識が常識になることも少なくありません。その意味では、「循環器疾患患者には安静が基本であり、運動は制限すべきである」との常識を一変させた心臓リハビリテーションは、医療技術としてはローテクかもしれませんが、そのコンセプトは先端医療といっても過言ではないと考えています。今回、大動脈弁狭窄症と肺高血圧症という2つの疾患を取り上げて、「循環器診療の最前線と心臓リハビリテーション」として、心臓リハビリテーションの有用性を含むディスカッションの機会を頂いたことは、両疾患の治療に転機を迎えた現況には、非常に時機を得たものと考えています。
ただ、patient orientedな治療を考えるには、その疾患への標準治療はもとより、種々の選択肢を考慮すべきことは言うまでもありません。このシンポジウムでは通常の治療には難渋する2疾患への新たなアプローチと心臓リハビリテーションについて、有効性や限界についての理解を深めたいと考えています。